Black Beast.

♯06.意地悪な不良彼氏

「 柚菜ちゃん、これはどう？ 」


「 柚菜ぁ、これは？ 」


「 っていうか、別行動したいし
　 柚菜ちゃんそろそろ番号教えて？ 」



５月に入って１週間が経ったある日、
HRが終わった途端半ば無理矢理
引きずられながら連れてこられたのは
学校近くの１００円ショップだった。



お店に着くなり解放された私は
お店に入っていく不良５人の
後姿を見て、他人のフリをしたくなったのは
言うまでもない。



「 お前ら、一々コイツに聞くな。うぜぇ 」



放課後と言えば、決まって屋上に
集まっていた連中が、急になんで
１００円ショップなんだと思いつつも
私は私で個人的な買い物を楽しんでいた。



さっきから私の周りで騒いでいる
不良たちは視線というものを
感じないんだろうか。



一般のお客さんたちの視線が
”私”に突き刺さっているんだけど･･･。



「 ･･･玲央くん？ 」


「 なに？ 」


「 私、持てるよ？ 」



周りの視線を気にしながらも、
みんなには適当に返事をして
少し離れようかとみんなとは
違う方向へ足を向けると、
玲央くんに買い物カゴを奪われた。