Black Beast.



「 ・・・なに 」



ぼうっとしばらく玲央くんの顔を
見ていたら、フイッと顔を背けられた。



”買い物カゴの似合わない人だな。”
改めて思ったことが素直に口から
零れそうになって、ぐっと飲み込んだ。



「 えーと、・・・あ!
  みんな何探してるんだろうと思って 」



希くんを除いて、すずくんと大勇くんは
やたらと私に商品を持ってきては
”これはどう?”と聞いてくる。



ほとんどその辺にあるものを適当に
持ってきているような気もするけど、
どれもなんだかパーティーで
使いそうなものばかりだった。



「 あー、来週拓未の誕生日だから 」


「 拓未くんの? 」


「 言ってなかったか? 」


「 言ってないよ!でも、そっか・・・
  それなら色々買わないとだね? 」


「 んー 」



眠そうな目でぼんやり店内を
見渡した玲央くんが私の手を
引っ張って歩き出した。



拓未くん、誕生日なんだ・・・。
今日来てないのも拓未くんには
秘密で準備するためなのかな?
男の子もそういうのするんだ・・・。



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