Black Beast.
未だにあっちで騒いでいる
彼らの頭に拓未くんの誕生日という
単語は残っているだろうか。
ただの迷惑な客にしか見えない。
「 言ってやれば。めんどくさいし 」
「 へ?・・・あー、えっと・・・ 」
私の隣から聞こえていた呻り声を
右から左へと聞き流していたせいで
意識が完全に大勇くんたちの方へ
向いていた。
前を歩いていた玲央くんが
”うぜぇ”と零したあと、
私にそう言って、私は・・・・
失礼のないように、
オブラートに包んで
優しい言葉で。と少し間をおいて
口を開いた。
「 1人で拓未くんのために
色々選んで、女の子みたいで
可愛らしいなぁって思ったの。
・・・それだけだよ? 」
私を見下ろす希くんの顔が
少し青くなった気がしたけど
私なりに遠まわしに言ったつもりだった。
見た目は茶髪だし、身長高いし、
1人だと無口で少し怖いけど
実際は外見とは真逆で優しい人・・だと思う。
・・・っていうか、なんで希くん
黙っちゃったんだろう。