Black Beast.
「 れ、玲央くん・・・ 」
「 なに? 」
「 私、悪いことした? 」
レジに並んでいる間、
繋いだままの手に視線を
落としながらそう聞くと
笑いを含んだ声が落ちてきた。
「 ・・・そうだな。180cmの男に
”女の子みたいで可愛い”なんて言う女、
お前以外にはいないだろうな 」
同時にきゅっと手を握られて、
顔を上げた瞬間、私たちの順番が来て
目が合うことはなかった。
──────────玲央くん・・・今、笑ってた?
「 あ、お金・・・! 」
「 いい 」
「 でも・・・ 」
「 いいから 」
少しだけ、笑った表情を見たかった。
・・・なんで下向いてたの、と
心の中で自分を叱りながら
淡々と会計を済ませる彼を
ぼんやりと眺めていた。