オレ様専務を24時間 護衛する


俺とコイツが24時間一緒にいるという事は

コイツは友達どころか、

家族にだって会って無いワケだ。

年齢的にも淋しい事は無いだろうが、

俺との生活は制限ばかりで

きっと息が詰まるだろうな。

そのストレスを料理で発散してたのか。


「おい」

「はい」

「今週の土曜日は、1日好きに使っていいぞ」

「はい?」

「俺はバイクのメンテナンスでもしてくるから、遊んで来い」

「あっ、いえ…でも……」

「俺のいう事が聞けないなのか?」

「あっ、いえ…そういう訳では…」

「2度も同じ事を言わせんな」

「あっ……はい、すみません。では……有難く、休ませて頂きます」


余程、嬉しかったのか、

グラスのカクテルを一気に空けた。

俺は仕方なく、2杯目を作ってやる。

毎度の事、俺に羨望の眼差しを向けて来る。


「これはホワイト・ミモザ。さっきのオレンジジュースをグレープフルーツジュースに替えた」

「なるほど~では、戴きます。……んっ!サッパリしてて美味しいです」


にこやかに微笑むコイツを見て、改めて思う。

俺って……大分、変わったな。

他人に歩み寄るとは……。


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