オレ様専務を24時間 護衛する
何故、今まで気付かなかったんだ?
いや、それらしい事なら幾らでもあった。
アイツを『女』として見ると、
今までモヤモヤしていた部分が
気持ちいいほどスッと晴れて行く。
俺は今までの事を1つ1つ
走馬灯のように思い返した。
そう言えば、松波は男にしたらやたら軽すぎる。
……それに身体の線も細い。
武術をしている割には
華奢な身体だと思っていたんだ。
手も小さいし、肌も女みたいに綺麗過ぎる。
―――――そうだ!!
アイツには髭だって生えてない。
男にしては気が利き過ぎるし、
物越しも柔らかい。
それに男臭さが何一つない。
アイツが初めてうちに来た日。
手の事を訊ねた俺に声を震わせ、
『身体が華奢だから武術を始めた』と言っていた。
俺はそれを病気か体質が原因なんだと、
鵜呑みにして勝手に思い込んでいた。
アイツを『男』と認定して、
俺が勝手に可哀想だと同情したんだ。