オレ様専務を24時間 護衛する


京夜様に促され、席に着こうとすると


「ちょっと……いいかしら?」

「?!……あっ、はい」


そっと近づき、気まずそうに耳打ちするお母様。

私は軽く頷き、彼女の後を追って奥の扉へと。



隣りの部屋へ入った途端、


「希和さん、大丈夫?京夜に嫌がらせされてない?」

「えっ?」


ボソッと小声で呟くお母様。


「あの子、白黒ハッキリ付けるタイプだし、女性だからって手加減しないし…」

「はぁ…」


お母様は心配そうに覗き込んで来る。



『白黒ハッキリ付ける』

『女性だからって手加減しない』


―――――それは“嫌”というほど熟知している。



御曹司だからと、女性にイイ顔をしたりしない。


……というよりも、トドメを刺す為に

私は彼の『恋人』役をやらされ、

よりによって、男装の姿で……人前でキスを。


―――――ありえない。

異常としか思えない、彼の行動。


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