オレ様専務を24時間 護衛する


「京夜」

「んッ?」


俺の行動を見透かしてか、

……父親が声を掛けて来た。



「彼は仕事が出来るだろう?」

「……か………れ……?」

「ん、松波君だよ。どうだ?」

「どうって……」

「お前にしては長続きしてるじゃないか」

「長続きって……奴をクビにしたら『結婚』させる気のくせに」

「ハハハハッ……フッ、まぁそうなんだがな」


父親は俺を騙した事を鼻で笑って誤魔化した。

フッ、奴が『女』だとバレている事も知らずに。



使用人がスープを配膳し始め、

別の使用人が焼きたてのパンを卓上に。

そして、もう1人の使用人は

父親から、何やら指示を受けている。


彼女は軽く会釈すると、踵を返して

母親と松波がいる隣りの部屋へと…。


「あっ!!呼びに行くなら、俺が行く!!」


俺は発すると共に歩み始め、

驚いた表情を浮かべる使用人の横を

するりと素早く通り抜け、

2人がいる部屋の扉に手を掛けた。



すると―――――、

< 178 / 673 >

この作品をシェア

pagetop