オレ様専務を24時間 護衛する
「京夜」
「んッ?」
俺の行動を見透かしてか、
……父親が声を掛けて来た。
「彼は仕事が出来るだろう?」
「……か………れ……?」
「ん、松波君だよ。どうだ?」
「どうって……」
「お前にしては長続きしてるじゃないか」
「長続きって……奴をクビにしたら『結婚』させる気のくせに」
「ハハハハッ……フッ、まぁそうなんだがな」
父親は俺を騙した事を鼻で笑って誤魔化した。
フッ、奴が『女』だとバレている事も知らずに。
使用人がスープを配膳し始め、
別の使用人が焼きたてのパンを卓上に。
そして、もう1人の使用人は
父親から、何やら指示を受けている。
彼女は軽く会釈すると、踵を返して
母親と松波がいる隣りの部屋へと…。
「あっ!!呼びに行くなら、俺が行く!!」
俺は発すると共に歩み始め、
驚いた表情を浮かべる使用人の横を
するりと素早く通り抜け、
2人がいる部屋の扉に手を掛けた。
すると―――――、