オレ様専務を24時間 護衛する
「ね?希和さん……お願いね?」
「何が『お願い』なんだ?」
部屋の中から2人の会話が漏れ聞こえ、
思わず、声に漏れていた。
物凄い勢いで振り返った2人。
松波の慌て様が尋常じゃない。
動揺? 慌てふためく??
いや、そんな感じじゃない。
からくり人形のように無言で口をパクパク。
―――――マジで面白い。
人間って、パニック状態を超えると
……声も出ないらしい。
母親は一瞬、慌てたものの
いつものお澄まし顔で、
「わざわざ呼びに来たの?」
「……あぁ」
「そう……お料理が冷めてしまわ。行きましょう」
「はいッ!!」
白々しく、小芝居でも打ってるつもりか?
何事も無かったように、
母親は松波をダイニングへと促し、
俺をチラッと見てから、ダイニングへと。
フッ、これで誤魔化せたつもりか?
―――――笑わせるなっての。
俺もまたダイニングへとその場を後にした。