オレ様専務を24時間 護衛する


「いいのよ?本当の事ですもの…」


小さく頷きながら、

私の手にそっと両手を添えて。


「希和さんに……折り入ってお願いがあるの」

「お願い……ですか?」



優しい笑みは一瞬で真剣な表情に。

ふわりと添えられた手に力が入り、

懇願するようにギュッと握りしめられる。


思わず、ゴクリと生唾を飲み込んでしまった。

だって、この『極秘任務』だけでも相当辛いのに

これ以上、何かを求められても……。


他に出来る事が私にあるだろうか?

……そんな想いが脳裏を過る。



「あの子の外見でなく、本当の姿を見てやって欲しいの」

「……本当…の?」

「えぇ。『御影』という名に飾られたあの子ではなく、『素』のあの子を…」

「………」


お母様の表情があまりにも真剣なので

なんて返答して良いものか、言葉に困る。


――――――『素』の京夜様。

短気だし、眼光は鋭いし、口調は荒いけど

たまぁ~~~に、優しい時もある。

ホントにたまあぁぁぁ~~~にだけど。


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