オレ様専務を24時間 護衛する


「ッ?!!」

「………チッ」



突然、背後から殺気のようなものを感じ、

思わず、身体が低姿勢に身構えた。


私は咄嗟に靴紐を結ぶフリをして、

チラッと視線を上に向けると、

左肩があった付近に彼の手が伸びていた。


―――――何?!!

何だったの?? 

今さっきのは……。


「……どうかなさいましたか?」


震え気味の声で尋ねると、


「いや……別に……」

「………左様にございますか」



エレベーターへと視線を逸らした彼。

『別に』と言ったが、

確かに“チッ”と舌打ちした。


それに確かに『殺気』を感じた。

今まで何度も彼の殺気を感じて来たが、

それと今のは次元が違う。


今のは……確かに『殺気』だった。

相手を仕留める時に念を送る類のモノ。


―――――やっぱり、バレてるのかしら?



専務室へ到着後もピリピリ感は拭えず、

常に鋭い視線を浴びている感じ。


……細心の注意を払わないと。



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