オレ様専務を24時間 護衛する
あれ以降も数回、
同じような悪夢を見ている。
――――いや、体験している。
ただ、救いなのは……。
あの時のような濃厚なモノでなく、
何度も軽く啄み、軽く吸われるようなモノで。
『キス』がどんなモノなのかも知らないのに
男装した上で、人前でキス。
拷問以外の何物でも無い。
無意識にため息を零しながら、気付けば、
エトワールホテルのエントランスに到着していた。
すぐさまベルボーイが駆けつけ、
京夜様と共に車から降りた。
はあぁぁぁ~~~。
今日は誰にも会いませんように!!
心の中で必死に唱えながら
軽やかに歩く彼の後を追う。
もう!!
歩くのが早すぎるんだってば!!
京夜様は脚が長い上、歩幅も広く、
最悪な事に歩くのが早い。
常に周りを警戒しながら足早に。
そんな彼の後を追うのは一苦労。