オレ様専務を24時間 護衛する
フッ、こんな茶番劇で
この俺様を騙せたつもりか?
――――笑わせるな!!
白々しいにも程がある。
俺は何食わぬ顔で
「松波、行くぞ」
「はい!!」
―――――会社へと、実家を後にした。
社内を歩み進める俺と松波。
相変わらず、衆目にさらされ
無意識に苛立ち始める俺。
エレベーター前に到着すると、
毎度の事、ちょこまかと
俺の背後から姿を現した松波。
田舎者が都会の高層ビルを見上げるみたいに
シースルーのエレベーターを見上げた
―――――その瞬間!!
俺は不意を突き、
松波の背後から奴の肩先へ手を……。
「ッ?!!」
「………チッ」
俺の行動を予想していたかのように
瞬時に身を屈め、
俺の手先を素早くかわした。
―――――マジで人間か?……コイツ。