オレ様専務を24時間 護衛する
もしかして、警備会社に勤務しているが
アパレル系に意外にも詳しいとか?
松波が手にしているジャケットは
5着の中で1番レベルの高いモノ。
俺が選ぼうとしていたモノを
見事に言い当てるとはな。
……いや、まぐれに決まってる!!
ただ単に、適当に選んだだけだ……きっと。
クソッ!!
それにしたって、一泡吹かせるつもりが
俺がビビってどうする。
ホント、ムカつく奴。
俺は往生際悪く、奴に難癖をつける。
そんな俺に顔を引き攣らせながらも
あたり障りのない言い訳を口にした。
フッ、白々しい奴だ。
胡散臭くて、ヘドが出る。
金魚のように口をパクパクさせ、
足りない頭をフル回転させている。
「もういい」
「へっ?」
何が起きたのか分からない様子の松波。
ポカンと口を開けたまま。
俺はそのジャケットを店員に差し出した。