オレ様専務を24時間 護衛する
「戻りは何時でもいいぞ」
「へ?」
「俺もその日は好きにするから」
「ホントですか?」
俺の言葉で一瞬にして明るい顔に。
フフッ。
普段の俺なら出て来ない言葉だな。
『罠』だと知らせず、
アリ地獄へ誘い込むような……。
まぁ、これは一種のアレだ!!
―――――袋の鼠
退路を断って、断崖へにじり寄る。
「お前の友人とやらにヨロシクな」
「あっ、………はい」
俺が珍しく優しい言葉をかけるものだから
松波は俺を怪しんでいる。
無意識に目が泳ぎ出し、俺の表情を窺っている。
そんな松波に、
「楽しんで来いよ」
「ッ?!………はい、ありがとうございます」
俺の言葉に怯えながらも、けれど、表情は嬉しそうに。
フフッ、せいぜい楽しむがいい。
「では、失礼します」
松波は明るい表情で会釈し、専務室を後にした。