オレ様専務を24時間 護衛する
11 魔界のプリンス
希和side
―――――――土曜日の朝
京夜様の朝のお世話を終わらせ、
私は久しぶりに実家を訪れた。
父は仕事で不在のようで、
母はリビングでテレビを観ていた。
「ただいま~」
「へ?……あらっ、希和なのッ?!」
「1カ月会わない間に娘の顔を忘れたの?」
「えっ、やだ……ホントに希和なの?」
母は涙目で駆け寄って来た。
「もう、幽霊でも見るみたいにするのはやめてよ」
「だって……」
今にも涙が零れそうな母にきつく抱きしめられると
ここが我が家なんだと改めて実感した。
「………ただいま、お母さん」
「……ん~、おかえり」
懐かしい我が家の香りに溶け込むように
身も心も解放され、思わず私まで涙ぐんでしまった。
「どうしたの?……今日は」
「うん、休暇を頂いたの」
「休暇?じゃあ、今夜は泊って行けるの?」
「あっ、それは無理。今夜中に帰らないと」
「あらっ、そうなの……」
声のトーンは低めでも
優しく微笑み、温かく迎えてくれた。