オレ様専務を24時間 護衛する
久しぶりの娘の帰省を手放しで喜べない母。
私だって心境は同じ。
出来る事ならこのまま職務を放棄したいくらい。
溜息まじりに部屋を見回すと、
ふと、リビングの時計が視界に入った。
「えっ?!ヤダッ!!もうこんな時間」
「あら、希和、どこかに出掛けるの?」
「うん、朱夏と買い物に」
「……そうなの……」
更に追い打ちを掛けるように気落ちさせてしまった。
けれど、今日ばかりは仕方がない。
朱夏との約束が最優先だしね。
「お母さん、帰って来たらお茶でも飲もうね」
私は口早に伝え、一目散に2階の自室へと。
現在の時刻、9時20分。
朱夏との待ち合わせが10時だから、
もう、あまり時間が無いじゃない!!
私はドレッサーに向い、
久しぶりの『女』の時間を愉しみ始めた。
決して上手とは言えないけど、ほんのりとお化粧を施し、
クローゼットからお気に入りのチュニックと
愛用のカプリパンツを取り出した。