オレ様専務を24時間 護衛する
でもまぁ、今回ばかりは
『パーティー』に感謝だな。
アイツの正体を知る事が出来たのだから。
暫く無言で運転している松波に、
「お前の実家は、どの辺だ?」
「実家ですか?えーっと、次の信号を右折して、国道沿いを暫く走ると区役所があるので、その脇の坂道を道沿いに上ると、黒い壁の家があります」
「ん」
「その黒い家の隣りに、オレンジ色の屋根の白い家があるのですが、そこが実家です」
「ッ?!………へぇ~。意外と近いんだな」
「そうですねぇ、京夜様のマンションからもそんなに遠くないですね」
「………フフッ。世間は狭いって本当だな」
「ん~、ホントですね」
滅多な事が無い限り、
車内で俺から話し掛ける事は無い。
けれど、これも全ては
この偽男の化けの皮を剥ぐ為の材料の1つ。
「明後日は何時頃に出掛けるんだ?」
「そうですねぇ。朝食準備が整いましたら、お暇を頂こうかと」
「ん」
「それで宜しいですか?」
「好きにしろ」
「有難うございます」
松波はミラー越しに軽く会釈した。