オレ様専務を24時間 護衛する
カチャッ、バンッ!!
「えっ?!」
「………」
土曜の朝、午前8時35分
只今、我が家の玄関ではかなり面白い光景に……。
「あっ………あの………?」
「ん?」
「いっ、い、如何が……なされましたか?」
「ん?………別に何も?」
「へ?………で、では………私に………何か、ご用でも?」
「いや。…………別に何も」
「へっ?」
俺の言葉に完全にパニクる松波。
俺が一言一言発する度にビクッと肩を震わせて。
その光景があまりにも滑稽で、
俺は今にも笑い転げそうになるのを必死に堪える。
「ききききっ、京夜……様?」
「ん?」
「わっ、私にご用が無いのならば、この手は……?」
「フッ、この手か?」
「あっ、……………はぃ」
今日は松波が『1日完全オフな日』である。
一通りの家事を済ませて、先程、俺のもとに挨拶に来た。
上機嫌で会釈した松波は、軽やかな足取りで玄関へと。
24時間、俺に張り付いていた緊張から解放された松波は、
不覚にも俺様に隙を与えてしまったのだ。
だからこうして、奴の背後に……――……。