オレ様専務を24時間 護衛する
心底腹立たしいが、100万歩譲って
今日はコイツにしたがってやる。
頬を引き攣らせながらルーフを閉め、
俺は無言で愛車を発進させた。
暫く車を走らせると、
物凄い至近距離から嫌な視線が。
「10秒で1万」
「ホント、相変わらず美形よねぇ~」
……無視かよ。
「5秒で1万にするぞ?」
「背だってあるし、素材はプレミアムなのにねぇ~」
……完全にシカトかよ。
「1秒で10万取るぞ?」
「お金なら腐るほどあるけど?」
……そりゃそうだ。
財閥の令嬢なんだから、金には困ってないよな。
「その顔で女嫌いだなんて、本当に罰が当たるわよ?」
「フッ、既に食らってるって」
「あっ、……そうだったわね」
俺の顔をジッと眺めていたみかは、
俺の右肩を小馬鹿にするかのように軽く叩いた。
突然の帰国に『食事に誘え』と
命令メールが届いたのが1週間前。
軽くスルーしていた俺だが、
奴の化けの皮を剥ぐ材料として
ほんの少しみかにも手伝って貰う事にした。
だからこうして、我慢をしてるという訳だ。