オレ様専務を24時間 護衛する


「それにしても、お前のような女を『妻』に迎えたがる男の気がしれないよ」

「えぇ~、どうしてぇ~?」

「金と権力と地位と名誉、そして、プライドしか知らないだろ?……お前」

「ヤダッ、失礼しちゃうわね」

「今までの男遍歴を見れば、誰でもそう思うって」

「今までは今まで。過去は過去。今回ばかりは違うんだから」

「へぇ~」


俺が嘲笑するように相槌を打つと、


「京夜も『恋』をしたら解るわよ」



『恋』なんてモノに興味はないし、

『結婚』なんてモノに夢もない。

『倖せ』という意味もイマイチ分からないし、

『家族』というモノに憧れもない。


婚約が決まり、一時帰国したみか。

婚約を祝ってほしいと

それで、『食事に誘え』メールが来たのだ。


玉の輿に乗らなくとも財力はあり、

誰もが羨む美貌を兼ね備え、

最高の環境の中で大事に育てられたみかにとって、

釣り合う男はそうそういない。


しかも、幼い頃から

みかの夢は『プリンセス』になること。

今でも十分『お姫様』の生活をしているのだが、

彼女の夢は『真のプリンセス』になること。

そしてその夢が今、現実のものになろうとしている。


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