オレ様専務を24時間 護衛する
「で?……これからどこに行くの?」
「ん?」
「京夜に頼まれた事は全て済ませたわよ?」
シートベルトの留め金部分を俺に差し出し、
如何にも俺に『留めてくれるわよね?』と言いたそうな視線で
顎でクイクイッと指図しやがる。
それも、嫌味なほどに
留め金部分を汚いモノでも触るかのように
指先でつまむような状態で。
―――――――ネイルなんて剥げちまえッ!!
「チッ」
俺は無意識に舌打ちし、シートベルトを留めた。
溜息を零しながらエンジンを掛け、駐車場を後にした。
暫く車を走らせると、
「で?……どこに向かってるの?」
「どこか」
「どこかって、どこ?」
「着けば、解る」
「何それ」
「いいから、少しぐらい黙ってろ」
「フンッ!」
プクッと頬を膨らませたみかは、
携帯で恋人とFace Timeを始めやがった。
―――――――黙ってられねぇのかよッ!!