オレ様専務を24時間 護衛する
御影の後継者としてのプライドと
周りからの期待と無言の圧力。
いつでもどんな時でも平静を装って、
気付けば、クールな俺様スタイルに出来上がり。
所構わず引っ切り無しに群がる害虫ども。
無意識にバリアを張り、
これ以上無いほどに威圧して………。
俺は俺でなく、『御影京夜』を演じて。
そして、―――――――――現在に至る。
思いっきり拗ねたみかに、仕方なく。
「詫びに、面白い所に連れてってやるよ」
「えっ?……面白い所?」
「あぁ」
俺の一言でまたもやコロッと上機嫌。
単純というか、めでたい奴というか。
でもまぁ、今日ばかりは機嫌取りをしとかないとな。
脳裏の隅でそんな事を考え、
俺は先程の5分間を無駄にしない為にも
手にしていた携帯をマグネット式車載ホルダーにセットした。
「近いの?」
「ここから?」
「ん」
「ん~、そうだな。20分くらい?」
「へぇ~。楽しみだわ」
「フッ。まぁ、楽しみにしててくれ」
俺はみかの頭を軽くポンポンと叩き、
再び、車を走らせた。