オレ様専務を24時間 護衛する


「いる所にはいるのねぇ~」

「うん………ホントに」


『羨ましい』以外の何物でもない。

私なんて『オカマ』に思われ、

要らぬ視線を浴びる事はあっても、

羨望の眼差しを向けられた事なんて1度も無い。


溜息を零し、アイスカフェラテを口にすると、


「あっ!」


じーっと見つめていた朱夏が急に言葉を漏らした。

思わず、私まで視線を向けると……。


女性がケーキを口に運んだ際に

髪の毛を口に含んだらしく、

男性がそっと、長い指先でその髪を流していた。


―――――――絵になる2人


そんな光景を私達だけでなく、

カフェにいる全ての人達が見惚れているんじゃなかろうか?


スタッフの女性までもが釘付けに。



すると、恥かしそうにはにかんだ女性が

ケーキを一口、男性の口元へ運び

『いいって』と聞こえてきそうな雰囲気で

彼はそのケーキを拒んだのにもかかわらず、

『ん~』とおねだりでもしている素振りの彼女。

ほんの少し肩をすくめて……。

すると、『仕方ねぇなぁ…』と言わんばかりに

彼は差し出されたフォークを掴んで

彼女の手によりケーキをパクリ。


これは、ドラマの1シーンじゃないだろうか?



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