オレ様専務を24時間 護衛する
京夜side
裏通路から店内部分へと歩み進めていると、
「データは?」
「は?」
「最低限でいいから」
『データ』というのは……外見のことか?
俺は暫し足を止め、
「髪は短く自然な栗色、身長は175㎝位だから、女にしては大きい方か。それから、笑うと左側だけにえくぼが出来る」
「へぇ~」
「後は、そうだな…………あっ!右の首筋、耳の少し下のこの辺りにホクロが1つあったな」
俺は無意識に自分の首筋に指先を滑らせると、
「フフフッ、ちょっと京夜」
「ん?…………何だ?」
「『女嫌い』の割には、よく観察してるのね?」
「あぁ?それ、どういう意味だよ」
「どうって、そのままの意味だけど?」
嘲笑するような笑みを浮かべ、
「了~解♪ ほら、行くわよ?」
軽い足取りで店内へと。
クソッ!!
上機嫌の俺様のテンションに水を注すなっての!
それに何なんだ?
俺様に聞いておきながら、あの余裕な態度!
如何にも馬鹿にしている感じが癪に障るっての!
女じゃなきゃ、1発ぶん殴ってる所だ。
けれど、ムカつく事に今日はアイツに頭が上がらねぇ。
俺は言い返したい言葉をグッと堪え、再び足を進めた。