オレ様専務を24時間 護衛する


ケーキを一口食べたのだが、


「んっ!」


眉根にシワを寄せて、俺に合図して来た。

絶妙なタイミングなのか、

それとも、ワザとそうしたのか……。

あまりのさり気ない&巧妙なアクションに思わず言葉を失った。


すると、コツンッとテーブル下の俺の足を蹴りやがった。

――――――いかにも、俺にアクションを起こせと。



「ったく、ほら、気を付けろよ」


ボソッと嫌味を小声で呟いておきながら、

表情は如何にも爽やかな男を装って。


指先でみかの髪を絡め取り、

そのままスッと横へ流して……。


―――――視線を感じる。

ガラス越しの店内からも、テラスの客からも。


背中側にいるから奴の表情は見えないが、

俺らの事を見ているだろうか?



「フフフッ」

「どうした」

「獲物が食いついて来たわ」


って事は、見てるって事か。


「どんな感じに?」

「う~ん、チラ見だからなぁ。一緒にいる子はずっと見てるけど」

「へぇ」


その後も俺らは『恋人』を装って、

仲睦まじい姿を見せつけていた。



そして……―――……。


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