オレ様専務を24時間 護衛する
12 It's Showtime!!
希和side
「うっ……」
………気持ちが悪い。
金縛りに遭ったみたいに身体が重くて動かない。
更に激しい吐気に襲われ、思わず口元を押さえて蹲った。
―――――――悪魔の巣窟の入口で。
玄関前で虫の息。
25年生きてきた中で1番強いストレスを感じていた。
空手の昇段試験の時よりも
テコンドーの国際試合の時よりも。
そんな時よりも例えようが無いほどに緊張している。
だって、確かにあの時
――――――――彼と目が合ったから。
でも、冷笑する訳でも無く
脅迫めいた言葉を浴びせる訳でも無く、
ほんの一瞬、目が合っただけ。
見るからにオーラを放っていたから100%本人だと思うけど、
超絶が付くほどの『女嫌い』の彼が
『恋人』と思われる美人と一緒で、
しかも、周りの視線を気にする事も無く
ごく自然に素敵な恋人関係に思えたから納得がいかない。
もしかして、目がバッチリ合ったけど
私が『女』の恰好をしてたから気が付かなかったとか?