オレ様専務を24時間 護衛する
『流して来る』というのは、ツーリング。
きっと気晴らしに走って来るという事だろう。
彼の自宅は特殊なセキュリティーになっていて、
玄関の内側から外へ出る際もロックを解除する必要がある。
―――――恐らく、女性対策で取っているのだろう。
「解ったら、サッサとそこどけよ。俺様を監禁するつもりか?」
「へっ?……あっ、はい、すみません!!」
ほんの少し開かれたドアの隙間から凄みのある声が聞こえ、
条件反射で立ち上がった。
そんな私の行動を気配で感じたのか、
ゆっくりと開かれた扉から姿を現した彼。
いつもながらにヘルメットを脇に抱え、
スッと立っているいでたちは目の保養になるくらいカッコイイ。
―――――――怒りのオーラを纏っていても。
コツンコツンとブーツの足音が響く中、
「夕食は済ませてあるから、今日はもう休んでいいぞ」
「へ?……あっ、はい」
何も無かったかのように私の横を通り過ぎ、
エレベーターへと向かう京夜様。
そんな彼の背中を見つめ、安堵の溜息が零れ出す。