オレ様専務を24時間 護衛する


俺は言葉を失った。


カフェに滞在した小一時間ほどの間に、

そんな細かい所まで理解できるモノなのか?

…………普通。


それに、直接話した訳でもないのに

遠目でチラリと見ただけでそこまで解るものか?



確かに、みかの洞察力はズバ抜けていると思うが、

―――――俄かに信じがたい。



悶々としながら、信号待ちをしていると



「そう言えば、京夜の初恋の子も似た感じの子だったわよね」

「はっ?!」

「ほら、居たじゃない!昔、パーティーによく来てた、ワンピースに星のヘアピンをしていた子」

「ッ?!」

「いつも京夜の隣りにちょこんと座って、何も話さなかった大人しい女の子が居たじゃない」

「…………」


――――――――まさか、みかにバレてただなんて。

俺の………初恋を。



「………違った?」


みかはしれっとした表情で俺に視線を向けた。

信号待ちがこれほど恨めしいと思った事は無い。


俺は何て答えていいのか言葉に詰まった。


そもそも、あの子と奴が似てるか?

奴にあの子の面影なんて微塵も無いぞ?


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