オレ様専務を24時間 護衛する


「………似てねぇだろ」

「いや、似てるよ」

「どこが?」

「どこって……。誰かに守られたいオーラじゃなくて、守りたいオーラが出てる所?」

「フッ、そんなオーラは俺には見えねぇ」

「だから、恋をしなさいって、いつも言ってるんじゃない」

「あぁ~はいはい」



どうせ、俺には人の心理なんてモノは分からねぇよ。

恋だの、愛だのと悩む事が無意味に思えてならないのだから。



「まぁ、私達みたいな境遇には、ごくごく普通の恋愛は難しいのかもね」



ボソッと呟いたみかの一言。

俺もそれは思っていた事。

普通の恋愛だけじゃない。

普通に生活する事だって難しい。



常に周りの視線を気にして、

家から一歩出た瞬間から、

360度24時間監視されている。


『どこから矢が飛んで来るか分からない』

………そんな状況。


そんな中で、素の自分でいる事が苦痛だった。

常に完璧を求められ、

いつだって『出来て』当たり前。


だから、自ずと出来上がった。

『御影京夜』という1人の男が。



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