オレ様専務を24時間 護衛する
俺はフルフェイス(ヘルメット)を手にして玄関へと向かった。
こういう時は、走るに限る!!
スカッとして、気分がリフレッシュ出来るから。
ショートブーツを履き、玄関ドアを開けると、
――――ドンッ
「痛ッ」
んッ?!
今、何かにぶつかり声がした。
恐る恐るドアの隙間から覗くと、
そこには蹲る……アイツが居た。
動揺している所をみると、
やはり、気まずくて入り辛かったのだろう。
俺は至って平静を装って、
今朝、送り出した時と同じトーンで会話する。
如何にも、親切で優しい紳士の顔で。
それでも明らかに動揺を隠せないのか、
松波は終始、目を泳がせている。
この場で問い質す事だって出来るのだが、
それでは、つまらなさ過ぎる。
メインディッシュはじっくり味わわないと。
奴を仕留めるその時が
着々と目の前に迫って来ているのに
今ここで、断崖絶壁から突き落とすのではつまらない。
やはり、仕留める時は
この手でじわじわといたぶって、
瀕死の状態で崖から蹴落とさなければ気が済まない。
俺は颯爽とエレベーターに乗り込んだ。