オレ様専務を24時間 護衛する


唖然とする私へ、


「ボケッとしてないで、この箱を持って来い」

「へ?………あっ、はい!!」


ソファの脇に置かれた大きな箱を指差した。

それは、あの高級オーダーメイドの店『LISSE』の文字が。

朱夏のドレスが入っていた箱と同じ模様が描かれていた。


恐らく、この中に彼の衣装が入っているのだろう。

私はその箱を手に取り、

彼の後を追うようにその場を後にした。




車のトランクに箱を乗せ、素早く運転席へ。


すると、


「行先はナビに入れてあるから」

「……はい。了解です」


エンジンを掛けると、ナビから音声ガイドが流れて来る。


「目的地まで……――……」


後部座席に座った彼は、いつもと同じように目を瞑った。


「では、出発致します」

「………」


音声ガイドに従って、慎重に車を発進させた。



いつもと変わらない口調だけど、

今日はいつになくピリピリしてる?


もしかして、嫌々パーティーに出席するから?

……そうだよね。

嫌いな場に赴くだけでも気が進まないのに

きっと、京夜様の毛嫌いしている女性がわんさかいるものね。

そりゃあ、ピリピリして当然か。


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