オレ様専務を24時間 護衛する


とてもお洒落な個室に辿り着いた。


中は洗練された家具に囲まれ、

あまりの華やかしさに思わず足が止まった。

――――まるで、おとぎの国。

ポカンと呆気に取られていると、


「では」


京夜様は、たった一言だけ口にして

スタッフに軽く会釈して、ドアの方へ歩いて行く。


私はすかさず、


「あっ、あのッ!!」

「んッ?」


振り返った彼は物凄く不機嫌そうな顔をしていた。

けど、ここで怯んではダメよ!!

聞く事はしっかり聞かないと!!

これも仕事なんだから。


「あの、京夜様は………どちらへ?」

「あぁ?!………俺は別の部屋で着替えるに決まってんだろ」

「えぇ?」

「お前、まさか……。俺がお前と相部屋で準備しろと?」

「はっ、いえ。………ん?………はいぃぃぃいッ?!」


………意味が全然解らないんだけど?

もしかして、私も着替えるって事!?


動揺を隠しきれない私に気付いて、


「その頭とそのスーツじゃ、会場に入れないぞ?」

「そうなんですか?!……あっ、でも、自分は送り迎えだけで……」

「あぁぁあッ?!」


私の言葉に怒りのスイッチが入ってしまったらしい。

―――――――阿修羅と化している。


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