オレ様専務を24時間 護衛する
「当店は、会員制のコーディネート専門店でございます。ヘアメイクは勿論の事、ヘアケア、ネイル、エステ、お衣裳に至るまで専門のスタッフが対応させて頂いております」
「そう………なんですか」
やはり、私の勘は当たった。
だって、ヘアサロンのような専門用具がズラリと並び、
部屋の一角にショップのような雰囲気の試着室まであるし、
ネイルやアロマの小瓶がグラデーション状に陳列してある。
『御影』が利用するような所だから薄々感づいていたけど、
ある所にはあるモノなのねぇ……。
1人納得していると、
鏡越しに別のスタッフが声を掛けて来た。
「失礼致します。ヘアセットまでの少しのお時間、ハンドマッサージをさせて頂きます」
「はい。………はい?」
客にお伺いを立てる口調でなく、
有無を言わさず、実行します宣言。
ちょっとちょっとちょっと。
髪を切る間にハンドマッサージって、
本格的なヘアサロンじゃない!!
完全に流されるままの私。
固まるように身動きせず、
眼だけがキョロキョロと動いていた。