オレ様専務を24時間 護衛する


「当店は、会員制のコーディネート専門店でございます。ヘアメイクは勿論の事、ヘアケア、ネイル、エステ、お衣裳に至るまで専門のスタッフが対応させて頂いております」

「そう………なんですか」



やはり、私の勘は当たった。

だって、ヘアサロンのような専門用具がズラリと並び、

部屋の一角にショップのような雰囲気の試着室まであるし、

ネイルやアロマの小瓶がグラデーション状に陳列してある。


『御影』が利用するような所だから薄々感づいていたけど、

ある所にはあるモノなのねぇ……。



1人納得していると、

鏡越しに別のスタッフが声を掛けて来た。


「失礼致します。ヘアセットまでの少しのお時間、ハンドマッサージをさせて頂きます」

「はい。………はい?」


客にお伺いを立てる口調でなく、

有無を言わさず、実行します宣言。


ちょっとちょっとちょっと。


髪を切る間にハンドマッサージって、

本格的なヘアサロンじゃない!!



完全に流されるままの私。

固まるように身動きせず、

眼だけがキョロキョロと動いていた。



< 328 / 673 >

この作品をシェア

pagetop