オレ様専務を24時間 護衛する
どう返答していいものか困り果てるけど、
別にモヒカンにされたとか、
坊主みたいに丸刈りされたとかでない。
かと言って、『ありがとうございます』的な
御礼の言葉が出てくる訳も無く……。
「あっ……あの?」
「はい」
カットされる前と同じ、優しい笑顔。
そんな顏をされたら、文句が言い辛くなる。
けど……―――……。
「すみません。これは……ちょっと……」
「はい?」
如何にも的に不服を表情で訴えているのに
何故、気付かないのだろうか?
長時間、京夜様を待たせる訳にも行かず、
私は意を決して口を開いた。
「申し訳ないのですが、この髪型、直して貰う事は出来ませんか?」
「はい?」
――――もう!!
何で通じないのよ!! この人。
もしかして、プロだからって
プライドがあるとか言い出さないわよね?
鏡越しにギロッと睨みを効かすと、
「申し訳ございません。こちらは御影様のお言い付けでして……」
「へっ?」
―――――言い付けって、それ、ホント!?