オレ様専務を24時間 護衛する
半ば押し込まれるようにして試着室へ入った私は…。
何だ、心配して損しちゃったじゃない。
安堵の溜息を零していた。
個室の中に用意されていた衣装は、
黒地に少し銀糸が織り交ざっているような
―――――――男物のスーツ。
私はてっきり、
ド派手なドレスが吊るされていると思った。
何だ何だ、私の勘違いか。
けど、じゃあ、コレは何?
試着室内の姿見に映る自分の顔に視線が向く。
だって、今の私、『化粧』を施されている。
化粧と言っても、下地みたいなもので
別にマスカラが塗られているとか
チークが乗せられているとかではない。
あっ!! そうか……。
男の人でも化粧をするって聞いた事がある。
私の周りにいた男性陣は
体育会系のマッチョばかりだったから、
直接見た事は無かったけど、
御影みたいに社交の場に出る男性陣は
きっと、綺麗な顔立ちなのだろう。
だから、肌を整えるくらいねぇ……。
自問自答で納得した。
あっ、でも、じゃあ、この髪は?