オレ様専務を24時間 護衛する
―――――――――終わった。
やはり、彼は私が『女』だと確信した上で
コレを用意し、ここへ私を連れて来た。
正体がバレているなら、
始めからお得意の罵声を浴びせればいいものを。
フフフフフフフフッ
アハハハハハハッ
………笑いが止まらない。
とうとう私、壊れたみたい。
もう何もかもが、どうでもよくなって来た。
私は自暴自棄になって、
毎日肌身離さず着けていた『お助けアイテム』も捨て
差し出された衣装を身に纏った。
鏡に映る自分に納得。
――――――今の髪型に良く合う。
走馬灯のように思い返した。
もしかして、さっきの衣装も
彼の作戦の一部になっていたの?
………そうだ、絶対にそうだ!!
私が着て来たスーツを素早く下げたのは、
足下が邪魔だからじゃ無く、
着て帰る服を消去する為だ。
それに、さっきのへんてこりんな偽衣装も
試着室へ入った時の安心感を与える為の小道具に過ぎない。
それも、用意周到に小細工まで利かせて。
更に、トドメを刺すようにこの衣装。
フッ、私の完敗だわ。
私は覚悟を決めて、扉を開けた。