オレ様専務を24時間 護衛する
奴がいる部屋の隣りで待機する俺。
ラグジュアリーな雰囲気の室内で
ゆったりとソファに腰掛け、声がかかるのを待っていた。
――――――――待つ事、小一時間。
漸く、スタッフが俺のもとへやって来た。
どうやら、奴の準備が整ったらしい。
ノック音がし、ドアへと視線を向けると
ゆっくりと開かれた扉からスタッフが1人。
そして、その後ろに………奴が。
フッ、隠れているつもりらしいが、
長身の奴はスタッフの影から頭が飛び出している。
まぁ、俯いているし、恐らく目を瞑っているだろう。
スタッフに促され、部屋の中へと足を進めた。
すると、スタッフは気を遣ってか、
軽く会釈し、その場を後にした。
――――――――今、この部屋には俺と奴の2人だけ。
ジッと身動きもせず、俯いたまま。
そんな奴に俺の第一声は―――――。
「おい、俺は『初めまして』というべきか?」
「ッ?!」
俺の言葉で更に硬直した松波。
そんな奴との間を詰めるように、
俺はゆっくりゆっくりと奴のもとへと歩み寄る。