オレ様専務を24時間 護衛する
一歩、また一歩と近づく俺の足元を見ている松波。
俺はそんな奴を上から下まで品定めするように眺めた。
「へぇ~、意外と根性据わってんだな」
「へ?」
「俺は無理やりにでも、あっちのスーツを着るかと思ったが」
「ッ?!」
「まぁ、いい。どっちにしろ、バレてんだから先は見えてんだろ」
「………」
「で、俺様に……何か言う事はあるんじゃねぇの?」
「ッ!!」
至近距離まで間を詰めて、
頭上からドスの効いた声を浴びせると、
あからさまに委縮する松波。
そんな奴を更に追いつめるように
一歩、また一歩をにじり寄る。
そんな俺をかわすかのように
後ずさりしながら恐怖の色を隠せないでいる。
マジで面白ぇ。
コイツの怯えた顏、久しぶりに見た気がする。
――――――ドンッ
行き場を無くした松波はドアに張り付いた。
「もう、逃げなくていいのか?」
「ッ?!」
バンッ!!
ドアに右手を付き、遮るように覆い被さる。
俺のネクタイ部分に視線を固定した松波はギュッと口元を結んだ。
そんな奴を見下ろしながら、
ゆっくりと耳元に近づいて…………。