オレ様専務を24時間 護衛する
「愚問だが、お前は『女』で俺は『男』だ。言ってる意味が解るよな?」
「…………はい」
「フッ、なら始めるとするか」
――――――――It's Showtime!!
車を降りた俺は颯爽と助手席へと回り、
左手でジャケット軽く押さえ、
右手で助手席のドアを開けた。
窓越しに俺の顔色を窺いながら
開けられたドアの隙間から
ゆっくりと両足を外に出す松波。
そんな奴に合せるように俺は右手を差し出した。
ゆっくりと腰を上げるように立ち上がり、
俺のすぐ目の前に姿を現した。
降りる際に前屈みになったせいか、
胸元を輝かせているネックレスのヘッドが裏返しに。
それに気づいた俺はそっと指先を滑らせ、
さり気なく、ヘッドを表向きに直した。
そんな俺らのやり取りを360度の視線が突き刺さる。
それと同時に悲鳴にも似た声も織り交ざって……。
まぁ、登場はこんなもんだろ。
俺の計算通り、エントランスにいた人間は
松波が俺の『特別な女』だと認識し始めていた。
「行くぞ」
「………はい」
スッと左腕を差し出し、使用人にキーを渡して
俺らは邸宅内へと足を進めた。