オレ様専務を24時間 護衛する


「わざわざ、これを見せる為に声を掛けたのか」

「えっ?」

「それとも、俺の女になりたくて声を掛けたのか」

「………っ……」

「はたまた、御影の財産が目当てで近寄ったか」

「なっ!!わ、私は……そんなつもりで声を掛けたんじゃありません!」

「フゥ~ン、じゃあ何で?」

「えっ?」

「理由があるだろ」

「理由と………言われても………」


急に押し黙る女。

さっきの松波とのやり取りをコイツは見てないのか?

まぁ、そうだろうな。

じゃなきゃ、このタイミングで話し掛けて来ないだろ。


ヘアピンをギュッと握りしめた彼女は


「私、久しぶりに日本に帰って来て、あなたを見て懐かしくなった………それだけです」

「は?」

「別にあなたの恋人になりたいとか、ましてや妻の座にだなんて考えていません」

「………」

「両親に連れられ、たまたま来た所にあなたが居ただけです」

「………」

「お気を悪くされたのなら謝ります」

「いや、俺は別に……」

「それに、あんなに素敵な婚約者がいるのだから、こんな所に長居は無用ですよ」

「へ?」



彼女に釣られて、窓の方へ視線を向けると

――――――そこに、松波が立っていた。


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