オレ様専務を24時間 護衛する


私は無意識に席を立ち、

隣りの席のお母様に小声で伝えた。

『京夜様の様子を見て参ります』


笑顔で頷くお母様。

それを『了承』と取った私は会釈し、その場を後にした。


パーティー会場の奥に設けられたゲストルームで食事をしていた私達。

私はパーティー会場内を見回したが、

そこに、彼の姿は見当たらなかった。


通路に出て、化粧室の前まで来てはみたものの

さすがに『女』格好で男性用には入れない。


かと言って、入口で待ち侘びるのもどうかと思うし。


あれこれ考えて、出て来た男性に声を掛けた。


「すみません。中に、他に男性はいましたか?」

「いえ」

「そうですか、ありがとうございました」


………居ないの?!

じゃあ、どこに行ったんだろう?

もしかして、先に帰ったとか?

――――ありえる!!

彼ならやりかねない。



こんな場違いな所に1人残されても困るのに。


私は京夜様のお母様に断りを入れて、帰ろうと思った。



すぐさま踵を返して、

再びゲストルームへ向かうと――――、


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