オレ様専務を24時間 護衛する


「あの、京夜様」

「………」

「………」

「………」

「先程の女性はどなたですか?」

「………」

「………」

「………」

「職務続行とおっしゃいましたが、明日からも護衛をするべきでしょうか?」

「………」

「あの……」

「………」



侯爵の別荘を出てからというもの、

何を尋ねても返答は無く、

私の声は彼には届いている感じがしない。



信号待ちで停車中、彼は窓の外の景色を見つめながら

何か、想い耽っているようにも見えた。



『今は話し掛けるな』

……そう言われている気がして、

私は空気のように気配を消す事に専念した。





1時間程して、御影の使用人が運転する車は

漸く、見慣れた景色の場所へと車を止めた。



自宅マンションの地下駐車場。

車から降りると、空気が少しヒンヤリとしてる気がした。


………もう、夏も終わりなのかもしれない。


靴音だけが響く中、無言の彼の後を追った。


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