オレ様専務を24時間 護衛する
結局、一睡も出来ずに朝を迎えた。
すっかりアルコールも抜け、
考えたい事が次から次へと湧いてくる。
今さら何故、俺に近づいたのか。
何故、コレを俺に渡したのか。
婚約者がいると知っていて、何故?
聞きたい事は山ほどある。
婚約者と言っても急場凌ぎの偽物だし。
けれど、今は何より
今にも開いてしまいそうなパンドラの箱を
どうにかしたくて仕方なかった。
開けるにせよ、再び厳重に閉めるにせよ、
きちんとした形で整理せずにはいられない。
混乱する頭をリセットする為に、
俺は熱めの湯でシャワーを浴び、自宅を後にした。
東の空が薄らと色づき、
散歩をする人の姿もちらほらと。
いつもならまだ寝ている時間。
見慣れない景色ではないのに、
何故か、高鳴る胸の鼓動。
澄んだ空気と朝焼けを全身で吸収して……。
湾岸沿いを愛車(バイク)で走り、
港町のカフェで軽く朝食を済ませ、
俺は再び愛車を走らせ、とある場所へと向かった。