オレ様専務を24時間 護衛する


みかの言葉に耳を傾けていると、


「女性嫌いの京夜が真面な会話をしてる時点で明確じゃない。それに、その人から『星形のヘアピン』を受取ったんでしょ?」

「受け取った……というより、どうしたらいいのか分からなくて、咄嗟に仕舞い込んだと言った方が近いような……」

「どっちにしたって、京夜が気にも留めていないなら、その『ヘアピン』は、ただのガラクタに過ぎないし、連絡先だって無視する事だって出来るでしょ?」

「ッ?!」



………それもそうだな。

こんな紙切れ、無視する事だって出来るし、

気にも留めず、捨てる事だって出来たはず。


みかが言うように、

『ガラクタ』と思えば、そう見えなくはない。

塗装が剥げかかっていて、如何にも幼稚な子供の玩具。



だが、捨てる事も『ガラクタ』と思う事も出来なかった俺。

これが、みかが言う『答え』というやつなのかもしれない。



手のひらに収まるそれを眺めながら、

俺は改めて実感した。



―――――――俺にとって『あの子』の存在を。


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