オレ様専務を24時間 護衛する


「はい、専務室、松波です」

「お疲れ様です。総合受付の三上です」

「はい」


いつもであれば愛らしい声音が聞こえて来るはずなのに、

何故か、事務的な口調の彼女。


昨日の状況がフラッシュバックする。

時間的にも似た感じだし、もしかして………?


今朝、京夜様から間接的に聞いている。


直接待ち合わせをしているとか、

食事の相手が彼女(大倉いづみ)だとは聞いてないけど、

それでも、彼の様子から察して……恐らく間違いない。


私は至極普通に尋ねた。



「もしかして、今、受付に昨日の女性がお見えですか?」

「………………はい」



やはり、今日もお出ましのようだ。


受話口から漏れて来る三上さんの声は

どこか怯えているように感じてしまった。


恐らく、目の前で彼女に凝視されているに違いない。

魔王のお相手だけに、『魔女』の視線が……。


私は三上さんが気の毒に思え、折り返し内線すると告げた。


そして、


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