オレ様専務を24時間 護衛する


無造作に置かれたネクタイの中から1本を手にした彼。

細長い綺麗な指がゆっくりと近づいて来た。

そして、長い腕が私の目の前で止まった。



「へ?」


私の目の前に差し出された……ネクタイ。

彼の手元から垂れ下がり、ゆらゆらと揺れている。


あっ?!

もしかして、私に下さるの?


自分の胸元へ視線を落とすと、頭に『?』が浮かぶ。

私のセンスが悪いって言いたいのかしら?



そもそも、このネクタイだって用意されていた物だし

勿論、有名ブランドのものなんだけどなぁ。


はっ?!

もしかして、スーツと合って無いとか?

……それは、あり得る。


ハイセンスの彼からしたら、私なんて……。

ほんの少しへこんだ私は無意識にため息が漏れた。


すると、目の前のネクタイが大きく揺れた。

視線を彼に移すと、苛ついているご様子。


やばっ!! 早くしないと!!


私は素早くネクタイを解き、

彼の手からネクタイと受け取ると……。



「へっ?!」


< 425 / 673 >

この作品をシェア

pagetop