オレ様専務を24時間 護衛する
無造作に置かれたネクタイの中から1本を手にした彼。
細長い綺麗な指がゆっくりと近づいて来た。
そして、長い腕が私の目の前で止まった。
「へ?」
私の目の前に差し出された……ネクタイ。
彼の手元から垂れ下がり、ゆらゆらと揺れている。
あっ?!
もしかして、私に下さるの?
自分の胸元へ視線を落とすと、頭に『?』が浮かぶ。
私のセンスが悪いって言いたいのかしら?
そもそも、このネクタイだって用意されていた物だし
勿論、有名ブランドのものなんだけどなぁ。
はっ?!
もしかして、スーツと合って無いとか?
……それは、あり得る。
ハイセンスの彼からしたら、私なんて……。
ほんの少しへこんだ私は無意識にため息が漏れた。
すると、目の前のネクタイが大きく揺れた。
視線を彼に移すと、苛ついているご様子。
やばっ!! 早くしないと!!
私は素早くネクタイを解き、
彼の手からネクタイと受け取ると……。
「へっ?!」