オレ様専務を24時間 護衛する



ネクタイを手にしている私の腕を掴んだ彼。


その視線は魔王の必殺技『雷魔ビーム』

雷の如く威力は絶大で、

魔王の視線が矢のように突き刺さる凄技。


私の行動を一瞬で制止させ、

そして、氷のように硬直させる。



何故、腕を掴まれたのか分からず動揺を隠せない。

……私、何か間違った?


その間も途切れることなく通話中の彼。

説明すらなく、私は首を傾げると……。


「…………へ?」


突然、彼は私の腕を引き寄せたかと思えば、

私の手にしたネクタイを首元に当て、

そして、――――――首をクイッと持ち上げた。


それは、一体、どういう意味?

私は唖然としてしまった。


もしかして…………このネクタイを、

――――――――――私が結ぶのッ?!!!


彼の胸元でゆれるネクタイと

そして、目で訴える彼の瞳を交互に見つめ、彼の胸中を推し量る。


やっぱり………そうなの……ね?


「あっ、はい、そうなんですよ。………えぇ、その商品は我が社で先行的に……――……」


中々終わりそうにない会話。


私は気付かれないように溜息を吐き、

もう片方の手を彼の襟元へ伸ばした。


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