オレ様専務を24時間 護衛する
京夜side
「京夜さん」
「ん?」
「少し、風にでも当たらない?」
「………あぁ」
フレンチレストランで夕食を済ませた俺らは
少し酔い醒ましに風に当たる事にした。
手入れの行き届いた庭園内にひっそりと佇むフレンチの名店。
広大な敷地内に所々ライトアップされ、
優雅に夜の散歩を楽しむ事が出来る極上の空間。
運転手つきの車での出迎えに少々驚きはしたが、
こうして2人で酔い醒ましに散歩するのも悪くない。
駐車場で待機する運転手には悪いが、
もう少しこのままゆっくりとさせてもらう事にしよう。
「寒くないか?」
「えぇ、大丈夫よ」
「……そうか」
夏から秋にうつり変わろうとしている季節。
少し冷たく感じる風も、酔い醒ましには最適のようだ。
俺の腕に腕を絡ませ、寄り添うように凭れる彼女。
こうして女を連れて歩くのに慣れてない俺は、
彼女との甘い時間を過ごす雰囲気よりも
歩幅とスピードを合わせ歩く事に集中してしまう。
………こんな感じでいいのだろうか?