オレ様専務を24時間 護衛する
「明日……」
「………明日?」
「えぇ……」
「明日がどうした?」
突然、呟くように言葉を発した彼女。
薄明かりの為、あまりハッキリとした表情は窺えないが
声のトーンからして言い辛い事なのだろうか?
俺はそんな彼女の顔を覗き込むようにして立ち止まった。
「あと4~5時間もすれば、明日になるぞ?」
「…………」
女への優しい言葉掛けなんて、俺は知らない。
女の会話に相槌を打つ事くらいしか出来ない俺に
気の利いたセリフを期待する方が間違っている。
俺は小さく溜息を吐いて、口を開いた。
「悪い。営業トーク以外は持ち合わせていない」
「えっ?………フッ、別にそんな事、気にしてないわ」
「それなら………」
ほんの少しだけ笑みを覗かせた彼女をじっと見下ろし、
俺は彼女の言葉をゆっくりと待つ。
時折、風に揺れる葉音が心地良く、
頬を撫でる風に、あの日を想い重ねていた。